三浦守先生が亡くなられました。

 三浦守先生が、12月13日、心不全のため亡くなられました。66歳?だったと思います。

 我が部と三浦守先生とは、約30年のお付き合いがあります。エネルギッシュな先生に引っ張られ、私を含め多くの部員が思いもよらぬ方向に幅を広げ、インドやタイで柔道を指導する機会に恵まれました。私が、今のようにどっぷりと柔道に携わるのは、間違いなく三浦先生の破天荒な生き方に魅了され刺激を受けたのが原因です。

 若い部員は、知らない方もいらっしゃるので、私の頭の整理がてら、皆さんにも、こんな先生がいたことを知っていただきたくメールします。少し長いですが、お付き合いください。

 三浦先生は、鹿児島生まれ、山下先生と同学年。柔道で鹿児島実業に進み、一年の夏休みに飲酒で退学、その後熊本の鎮西に転校、船山塾の門下生となる。※かなりやんちゃな高校生だったみたい鎮西でも柔道部で活躍し、拓大への進学のため上京するも、何故か大学には進まず、コメディアン由利徹さんの弟子に。(故たこ八郎さんは兄弟子)

 厳しいコメディアン修業時代、周りの先輩から聞いたインドの話に興味を持ち、単身インドへ、そこでも抜群の生命力で、インド人に溶け込み、いつの間にか柔道を指導しながらインド中を放浪するように。そのころに、パキスタン国境の街アムリトサルに柔道場をつくる目標を見つけ、日印友好協会を設立し、金集めに日本中をまわるように。このころに、私と初めて出会いました。

 2000年頃、宗真一郎さんの知人の紹介で、先生と遭遇。とんとん拍子に話が進んで、インドの子どもたちを福岡で受け入れ、香椎競技場に寝泊まりしました。

 2002年には、先生の頑張りで、我が柔道部が日本の代表として、「日印国交樹立50周年記念事業」に参画、インドの先生の道場にインド国内、パキスタン、スリランカなどの子どもたちを集めて、国際柔道合宿を開催、福岡県知事の親書を預かって、インド国軍に警護?されながらの10日間でした。JICAから渡航費を補助いただくのに外務省に掛け合ったり、当時の在インド大使館の林全権大使宛ての知事からの親書をいただくのに、知事を訪問したり、本店総務のキャップの頃でしたが、忙しい仕事の合間に、貴重な経験をさせていただきました。

 その後に、今度は、先生が拠点にしていたタイ・チャンタブリ・シアヌソンスクールの子どもたちと交流。こちらも二度ほど福岡に受け入れ、当時私も通っていた鳥飼八幡宮の振武館で寝泊まり。逆に五度ほど我が社の部員とともに、タイにも遠征。何故か、タイ国軍士官予備学校や警察大学校でも指導させていただいたり、シアヌソンスクールの全体朝礼で柔道着姿で挨拶をさせていただいたりと、先生の勢い、熱量に乗っかる形で、自分たちの実力以上の貴重な経験を数えきれないくらいやらせていただきました。

 ある時は、カザフスタンの柔道場に金鷲旗の畳を送るからと、先生と二人で福岡企業を寄付金集めを目的に回り、約束通り、金鷲旗の使用済み畳をカザフスタンまで運び、西日本新聞に大々的に取り上げていただいたり。

 一見どころか、無鉄砲としか思えない先生の思い付きなんですが、何故か実現してしまうあの行動力にいつも感心させられるばかり。

 互いに年を重ね、私の転勤もあったりして、年に一度か二度、東京や福岡でお会いする程度に。
 至近では、長年独身を通していた先生が、ナガランド州の(先生曰く)酋長の娘と結婚し、奥さまと二人で福岡にいらしてお会いしたのが最後になりました。

 繰り返しになりますが、私が今も、柔道界に携わり続けるのは、三浦先生との繋がりがあったから。
 段位にも、審判ライセンスにも、何なら最新の柔道ルールにもまったく拘らず、ご自分が高校時代に船山先生から教わった技術を、「これこそ、日本の柔道」として教え続けた先生の姿に、魅了されたからです。

 昨晩から、SNS上に三浦先生の過去の画像とともに、タイのシアヌソンの子たちのメッセージが飛び交いました。タイ語で和訳しても内容が分からなかったので、そのうちの一人にDMを送ったところ、すぐに英語で先生が亡くなった事実を教えてくれました。
最後まで、破天荒に生きた先生らしい、情報伝達だな〜とひとり納得。

三浦守先生、いろいろありがとうございました。どうぞ安らかに。

2023年12月22日


・三浦先生の高校時代〜インド放浪(月刊武道連載の「アチャー柔道」)

 アチャー柔道 (aikij.com)

・タイ・士官予備学校、警察大学校

 Kyusyu Electric Power Judo-Club Website (kyuden-judo.jp)

・2005年タイ・シアヌソンスクール訪問記

 Kyusyu Electric Power Judo-Club Website (kyuden-judo.jp)

・2002年日印国交樹立50周年記念事業でインド訪問

 Kyusyu Electric Power Judo-Club Website (kyuden-judo.jp)

・2001年インド二度目の来日

 Kyusyu Electric Power Judo-Club Website (kyuden-judo.jp)