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 群馬県(前橋市)地方青少年柔道錬成大会:講師レポート
  1. 大会趣旨(主催:日本武道館、全日本柔道連盟ほか)

      群馬県の中学生及び高校生に専門的な知識と技術を習得させ、資質の向上を図るとともに柔道の普及と競技力向上に資することが主な目的です。

  2. 準備運動

     今年の群馬県で通算10回目の錬成大会となります。現役を引退し早いもので5年経ちます。それでも週3〜4回は小学生、中学生、高校生らと稽古し、最低筋力を維持している状況です。
     今回は、錬成大会の約3か月前から仕事と少年柔道指導の合間、約1時間程度の走りこみ等を行い、コンディションの充実を図りました。

  3. 戦友との再会

     錬成大会を共に指導するのは、大学時代のチームメイトです。
     一人はセコム株式会社の中田先生、もう一人は西日本高速道路株式会社(旧日本道路公団)の近藤先生です。
     中田先生は数々の国際・国内大会で優勝し、得意技の「大外刈り」と「送り足払い」を武器に活躍しました。特に印象深いのは、全日本柔道選抜体重別大会でオリンピック金メダルの「瀧本選手」に一本勝ちしたことなどを思い出します。
     近藤先生は小学、中学、大学、社会人、国際大会と個人戦で優勝し、右の背負投げ、左の袖釣込み腰を武器に日本代表まで登りつめた男です。
     中央大学の黄金時代を支えたメンバーと、群馬県柔道練成大会の始まりです。

  4. 平成23年度 群馬県(前橋市)地方青少年柔道練成大会(10/8〜10)

     今回の練成大会に参加するのは、群馬県内の中学生80名、高校生100名の合わせて約200名でした。
     会場は前橋市「ぐんま武道館」でした。前日、地元講師の先生方と綿密に打合せを行い、指導メニューを練り上げました。具体的には、以下のとおり。

  5. 【1日目:午前】
     @ 開 講 式   近藤先生あいさつ(日本柔道の現状及び安全指導について)
     A 体  操   高校生が号令実施
     B 寝技補強  えび・逆えび・ほふく前進・横とびの説明
     C 寝技講義  横返し・三角・引込・胴締め返しなど
     D 寝技打込  基本動作の確認・習得技の反復練習
     E 寝技乱取  ・通常乱取(2分×5本)
                ・引込乱取(1分×6本)
                ・1本取り(3人抜き10分)
     F 体  操   高校生が号令実施

    【1日目:午後】
     @ 体  操  高校生が号令実施
     A 回転運動 柔軟性及びバランス感覚の養成
     B 受身説明 指導者講習会の内容を伝える(後受身、前受身、横受身など)
     C 講  義  近藤先生(背負投げ:応用、連続、組手)
     D 打  込  基本動作の確認・習得技の反復練習(1人、2人打込み)
     E 乱  取  4分×10本、両者組み合った状態からの乱取2分×5本
     F 打  込  乱取で崩れた技を整える
     G 体  操  高校生が号令実施
     H 講  評  江上先生

    【2日目:午前】
     @ 体  操  高校生が号令実施
     A 講  義  柔道ルネッサンス(中田先生)
     B 寝技補強 指導者講習会の内容を伝える
     C 寝技講義 寝技の世界一周(中田先生)
     D 寝技乱取 ・通常乱取(2分×5本)
               ・引込乱取(1分×6本)
               ・1本取り(3人抜き10分)
     E 体  操  高校生が号令実施

    【2日目:午後】
     @ 体  操  高校生が号令実施
     A 回転運動 柔軟性及びバランス感覚の養成
     B 講  義  中田先生(足払い、大外刈り:崩し、作り、掛け)
     C 打  込  基本動作の確認・習得技の反復練習(1人、2人打込み)
     D 乱  取  4分×10本、両者組み合った状態からの乱取2分×5本
     E 打  込  乱取で崩れた技を整える
     F 体  操  高校生が号令実施
     G 講  評  近藤先生

    【3日目:午前】
     @ 体  操  高校生が号令実施
     A 回転運動 柔軟性及びバランス感覚の養成
     B 講  義  鳥居先生、江上先生(袖釣り込み腰の共演)
     C 打  込  基本動作の確認・習得技の反復練習(1人、2人打込み)
     D 乱  取  4分×10本、両者組み合った状態からの乱取2分×5本
     E 打  込  乱取で崩れた技を整える
     F 体  操  高校生が号令実施
     G 閉 会 式  中田先生

  6. 総 評
     この3日間、群馬県の中・高校生を指導しましたが、特に印象深かったのが、研究熱心で良く質問する選手が多かったことです。

    どんなに苦しくとも、最後まであきらめない「やりきる力」を群馬県の子供たちから感じました。

     現時点で飛びぬけて強い選手はいませんが、飛びぬける可能性のある選手がたくさんいました。近い将来、この練成大会を経験した子供たちの中から、柔道で培った心と体を活かし、世界で活躍する「人財」に育つことを期待しています。

     また、群馬県柔道連盟の鳥居副理事長とは、世代を超えた「袖釣り込み腰」の夢の共演が果せたことを大変うれしく思いますし、子供たちにとっては貴重な体験となったのでないでしょうか。
     鳥居先生の「袖釣り込み腰」に対する「熱い思い」を感じることができました。

     練成大会に参加した子供たちへのメッセージとして、今後、柔道に限らず、世界で活躍するために必要だと感じることを、以下の5つにまとめましたので、参考としてください。
     一つ目は、皆さんが練成大会のときに見せてくれた「やりきる力」です。
     二つ目は、「信じる力」です。どんな逆境でも負けない自分を信じる力。
     三つ目は、「意識力」です。ただやるだけの練習から問題意識をもった練習へ。
     四つ目は、「行動力」です。思いを形に変える力。
     そして、最後の五つ目は、一番大切な「感謝の心」です。
     当たり前のことかも知れませんが、「おかげさまで・・・(感謝の心)」の言葉をいつも心に入れて行動すると、毎日を楽しく、そして、自分らしく生きることができると思います。

     最後になりましたが、群馬県柔道連盟の富澤会長、樺沢理事長、鳥居副理事長、今川副理事長、黒田強化部長ほかの先生方の熱意により、本大会が盛大に開催され、無事に終えられましたことを感謝するとともに、今後、同連盟の皆さまの益々のご発展を祈念いたします。

九州電力株式会社 柔道部コーチ 江上忠孝