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 九州電力柔道部インド遠征記 5
九州電力株式会社 柔道部
福田 隆
 今回のインド遠征では,自分の柔道の良い所を少しでも覚えてもらったらいいなと思っていた。しかし,言葉は通じず,ちょっとしたポイントも伝わらなく,自分なりに納得のいく指導は出来なかった。教える難しさを改めて感じた。柔道以外でも良い経験ができ,とても思い出深い遠征となった。

インドでの食事は・・
誰もがまず想像するのがカレーだと思うが,まさにその通り。初めは美味しいと思っていたが,本当に毎日がカレーだとは思ってなく,さすがに3日目には食べたくなくなった。カレーの種類も,チキンカレー,野菜カレー,豆カレーなど,いろいろあり,主にナンにつけて食べる。また,カレー以外の食材にもスパイスが入っており,なにを食べてもカレーの味しかしない。生野菜なども出てきたが,食べたら下痢をする。それは,水で洗っているから。だから,生ものは食べれない。飲み物においては,もちろん水は飲めない。飲むとしたらミネラルウォーター。それ以外はジュース。コーラ,ファンタオレンジ,セブンアップなど,どれも炭酸飲料。しかし,ちょっと日本の味とは違った。オレンジジュースみたいなものはあったが,ちょっと臭く,怖くて飲めなかった。


ポリスパブリックスクールの子供達と

町並みは・・
第一印象「汚い」と思った。ゴミは散乱しており,公衆トイレの臭いが凄い。また,日本にも野良犬,野良猫といった動物がいるが,インドには,野良牛,野良豚がいた。道路は,車以外にも,人力車や馬車,バイクなどが走り,常に混雑している。

柔道は・・

この環境の中で柔道をやっていると思うと,道場など,どのようなものなのか心配になった。また,選手(子供達)にも,あまり期待をしていなかった。ところが,道場へ行ってみると,すばらしい道場があり,体格いい選手(子供達)がいるのに驚いた。これも,今回お招き頂いた三浦先生の指導の賜物だと感じた。子供達は,私達(日本人)が来るのを楽しみに待っていたらしく,大歓迎してくれた。練習が始まると子供達は,少しでも多くの事を習おうと積極的だった。柔道に取り組む姿勢は,私が思うに,日本の子供達以上に熱心で,見習うものだと感じた。しかし,実力は,日本の同年代に比べると,まったく低く,初心者と同じレベルである。それは,柔道ではなく,レスリング。柔道の技も知らない状態。指導するにあたって,まず基本を覚えてもらうしかない。(組み手,体さばきなど)今回の合宿では,タイ,スリランカからも選手が集まっていたが,実力はあまり変わらない。基本を中心とした練習をし,少しでも試合に近づけるように指導した。練習を重ねていくと,基本をマスターした子供達の上達は早く,日本の同年代の実力と同じくらいまでになった。だが,基本よりもテクニックを教えてほしいという子供達が多く,基本を覚えようとしない。そんな子供達は,結局,最終日まで同じ状態だった。最後に「なんでも土台がしっかりしていないといけない」と基本の大切さを話した。

催し・・

練習以外でも,村の学校を訪問し,デモンストレーションを行うなど,いろんな企画があった。初めて経験した青空道場。当然,柔道場はなく,運動場にマット(ココナッツ)を敷き,デモンストレーションを行った。投げの形,投げ込みなどを行ったが,村の学校の生徒達は,柔道を見るのは初めてで,大歓声だった。その後も生徒達から歌や踊りの披露があり,大歓迎された。

シーク教の歓迎の証
オレンジ色の布をかけられる
観光・・
一番印象に残ったのは,やはりインド,パキスタンの国境。国境を見たのは初めてではなかったが,今話題の国境だけに,ちょっと緊張した。だが,思っていたのとは違い,以外と和やかだった。ほかにもゴールデンテンプルなどに行き,宗教の国を実感することができた。なかなか体験できないことができた。

今回の遠征では,柔道を指導するという目的であったが,指導するだけでなく,柔道を通じ,今回,参加したインド以外の国,タイ,スリランカといった国との交流も深めることができた。自分自身の柔道においても,改めて振り返ることができ,進歩できたと思う。また,少しだけであるが,インドという国を知ることができた。普段,考えることのないインドに行ったということで,人生において良い経験ができたと思う。これもインドで柔道の指導にあたってる三浦先生のおかげであり,感謝したい。